『スルメを見て、イカがわかるか!』という本がある。
養老孟司と茂木健一郎の対談集らしい。
まだ読んでない。
でも、「スルメを見て、イカがわかるか!」という発言の表面的な
ところだけはなんとなくわかる。
ところで私の場合は全くの逆発想だと思う。
大学の時、染色体の観察実習の折に固定という手順を習った。
ホルマリンを主体とした固定液に細胞を含んだ根の先端を
浸してしまうのだ。それによって、タンパク質が変性し、生命の
動きは停止してしまう。
以上のような操作と類似のことを生物の観察一般で広く行われている。
押し葉標本はぺしゃんこになった乾燥した植物の遺体だし、標本という
もの一般がそういうものだ。そして、そういう操作によってはじめて繰り
返し同じものを観察するということが可能になる。
話がまた難しくなったので、昨日のお絵かきを。
主題は「固定された染色体」だ。
書き方が悪くて、話が見えなくなってしまった人もいるかと思うのだけど、
大体において、私の表現したものは「自分の標本を採る」という発想で
今のところ組み立てられている。そんな難しい言葉を使わないで自分史
といってみたほうがわかりやすいかもしれない。
表現という形で内側のもやもやを固定し、外化する、そのことによって
繰り返しの観察が可能になる、という原理だ。
画にはいろいろ不満なところもある。染色体6本というのは学生のとき、
扱っていたクレピスという属のキク科植物の染色体が6本なのにちなんだ。
染色体6本というのは植物の中でも最も少ない部類にはいる。それは
いいのだけど、6本全部同じというのはおかしい。細かく言い出すと
きりがないのだけど、解剖学的に正しいことを目指したわけではないの
でご容赦を。
どっちかというとイメージメモという感じだ。メモというには作成に2時間
以上かかっているので、そう気軽にというわけではないけど、自分史の
ビジュアル版という感覚も入っている。
「誰でも画がかける」かどうかはわからないけれど、PCは技術を大衆化
し、多くの背景を持つ人がこういう世界に入っていくことを可能にしている
側面はあると思う。
その場所、その時で、考えたことの記録としては十分だと思う。
そして、極私的ではあるけど、それは世相の一部である。表現として
表面に浮かび上がったことを通して、その深層について考えることを
可能にする。こういう考え方は中野収『戦後の世相を読む』に学んだ。
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