能力が落ちたのなら後方へ

 へんな言い方だけれども、
それまで魔法が使えたのに
だんだん使えなくなった。
それまで空飛べていたのに
だんだん飛べなくなった。
自分の中では結構
自由自在に空を飛んで
空中戦をたのしんでいたのに。

魔法って表現や方法、言葉の
比喩のことだと思っていた時期
がある。

小説家が魔法について書くとき
自由自在に表現できる
言葉の才をそう表現しているの
ではないか、そう思っていた時期
がある。

それは脳や心、そして全体としては
身体の能力などに主に依存している。
道具を使うのも身体だと思っているので。

そしてそれらは基本的には
ブラックブックスであり、
これをすればこう
というふうには必ずしも
なっていない。

だから急に飛べなくなったとき
あわててしまう。
幸い私は何の義務も課せられていない
能力が落ちたとき、
能力が落ちた先の場所で
できることを探せばいい。

本を読むこと、
人名その他拾い上げること
そういうことならたぶん
今でもできる。

頭を使うことから
足を使うことにだんだんシフト
させていけばいいのだと。
調べものなど頭の足を。
まあ、これも自分のできる
範囲でのことであるけれど。